2021.07
IT業界の発展を支え、団体としての地域貢献を通してステータスを上げる。
一般社団法人神奈川県情報サービス産業協会 会長
坂井 満 氏
Profile
昭和32年11月16日生まれ。63歳。横浜市神奈川区六角橋出身、神奈川大学キャンパスが幼少期の遊び場。上智大学卒業後、家業(築地の仲買)を継がずITメーカ勤務。その後メーカ系IT商社役員を経て2015年4月より株式会社アイネット。2018年6月代表取締役社長就任、現在に至る。情報サービス産業協会(JISA)理事。神奈川県情報サービス産業協会では、理事、副会長、2021年6月より会長。趣味は、温泉・旅・食べ(呑み)歩き。
この6月に一般社団法人神奈川県情報サービス産業協会(以下KIA)の第5 代会長に就任されました。まずKIAとはどのような団体かご紹介ください。
KIAは1984年に神奈川県情報処理産業協議会として設立したのがきっかけです。1987年に社団法人化して、約100社の県内IT企業が集い、今の神奈川県情報サービス産業協会として設立しました。現在は、県内IT関連企業を中心に約350社の会
員がおり、活動としては会員スキルの向上のための教育研修委員会、技術委員会をはじめ、各行政とのかかわりで横浜市・川崎市などとの交流委員会、人財採用等々のSE講座特別委員会、産学連携委員会、女性の活躍に重きを置いた女性活躍ダイバーシティ委員会など幅広く社会と関わっています。さらに、海外研修会などで海外とのオフショアビジネスの足がかりや他県との連携事業など、多くの営業活動も展開しています。
会長は横浜のご出身ですね。IT業界ではどのようなキャリアを積みながらKIAに関わってこられたのですか。
私は神奈川区六角橋の出身で、子どもの頃は家の近くの神奈川大学のキャンパスが遊び場でした。家業は築地の仲買でしたが、大学を出た後そこを継がずに、ITメーカーに勤務しました。余談ですが、仲買は継ぎませんでしたが「魚もITも旬が大事」という共通点があるんですよ(笑)。
その後、メーカー系のIT商社役員を経て、2015年に弊社(株式会社アイネット)に入り、2018年6月から社長に就任して現
在に至ります。社会に出てからこれまでずっとKIAの会員ですから、長い付き合いと言えます。前期まで私は副会長として会長をサポートしてきましたが、今期からは微力ながら会長として頑張らせていただこうという心境です。
また私は5代目の会長となりますが、3代目は弊社の創業者最高顧問である池田典義であったのもご縁を感じています。
KIAの社会活動で特に印象に残っているものはありますか。
たくさんありますが、たとえば25回目を数えている、「かながわ夢絵コンテスト」(現在はNPO法人こどもネットミュージアムが主催でKIAは後援)があげられます。県内の小学生を対象にしたもので、今では過去の受賞者がエンジニアとしてKIA会員各社に在籍していることなども面白い出会いであると思います。弊社の社員にも「小学生時代にあのコンテストで表彰された」という経験をもつ人がおり、こうした活動の大切さを実感します。
内部からKIAを見てきた立場として、KIAにはどのような魅力があるでしょうか。
KIAは多くの会員が自社の得意分野を活かして社会活動をし、業界の仲間を増やしてスキルを高め合う、といったことに取り組んできた団体です。ボランティアの領域を超えて活動されている会員も少なくありません。また同じIT業界に籍を置く者同士が、社外行事としてクリスマス会や地引網、フットサル大会、野球大会、ゴルフコンペなどを通してお付き合いできるのも素晴らしいと思います。
昨年から見舞われているコロナ禍において、IT業界の現状をどのように捉えていますか。
ひとことで言えば「まだら模様である」という感じでしょうか。IT業界といっても、その先にはさまざまなお客さまがいます。たとえば交通、旅行、外食といった業界は状況が厳しく、当面投資は控えめになっていますので、そこを担当しているIT企業はその影響を受けています。一方で、クラウドのビジネスを展開していれば在宅勤務をはじめとするテレワークの浸透で業績は伸びているでしょうし、そこに付随するセキュリティ系のITビジネスも成長していると思います。
ただ外食系もデリバリーの仕組みを構築するニーズが高くなってくると、そこもITが支えることになります。暮らしや社会、ビジネスが変わるときにITが必要になってきますので、そこに主軸を移せばビジネスとして伸ばすことができる。コロナ禍においても各IT企業の状況がさまざまなので「まだら」だと感じています。
今後のI T 業界の展望はいかがでしょうか。
コロナ禍における環境への対応が進み、足もとの商談は増えていますので、今後しばらく堅調に成長するものと思われます。働き方改革が徹底してきているなか、コロナ禍において当初はパフォーマンスの出方が分からなかったようですが、徐々にノウハウが生まれ、パフォーマンスが上がっています。そのためお客さまの投資も積極的になっています。
たとえば、オフィスの入口には体温計があり、計測データが蓄積される、またさまざまな場所にCO2センサーが設置され携帯やサイネージに数値を表示する、あるいはp a y p a y などのキャッシュレス決済も広がっています。このような「非接触」「非密集」に関連したITビジネスは拡大するでしょう。
KIA会長としての抱負をお願いします。
KIAの活動の目的にも明示されていますが、団体としてIT業界の発展を支援しながら、地域貢献、社会貢献を通してステータスを上げていきたいと思います。これまでKIAの先輩方が取り組んできた活動をしっかりと受け継いで、推進して、それを内外にアピールして、参加者の輪を広げていくこと。そこに力を入れたいですね。
冒頭で述べたように、約350社の会員がいますが、県内の認知度はまだまだだと感じています。弊社の新入社員にも話をす
ることですが、この世の中、朝起きて夜寝るまでの間、誰しもITがなかったら生活することができなくなっています。
銀行、報道、出版、物流、接客業、サービス業はじめすべての業界の活動をITが支えています。なのでIT業界に携
わっている人たちは、素晴らしいアイデアによって活躍の場をつくることで、世の中を変える、世の中を良くしていけることに自負をもって欲しい。先ほどの「非接触」「非密集」に限らず、社会には解決すべき課題がまだ多くあります。
また最後になりましたが横浜中法人会の皆さまには、同じ地域で頑張る仲間として業界の垣根を超え、良い世の中をつくっていくために一緒に手をたずさえていきましょう、とお伝えしたいです。
これからもKIAをどうよろしくお願いいたします。
株式会社アイネットにて
(4月22日取材)
福井