2021.02.01

呑んで庖丁のハナシはまずいな。

みなさん、明けましておめでとうございます。この原稿を書いているのは1月2日ですので、気分的にはそんな書き出しになってしまいますがご容赦ください。

 

さて、とは言え皆様に読んでいただくのは2月です。2月といえば、もうあと10か月で年末年始ですよ。面白がって言っているのではありませんよ。来月末には桜の開花宣言が発表されてお花見というみんな大好きイベントが待っています(きっとできないでしょうけど)。かと思うともうゴールデンウィークです。僕の住む海辺の町では潮干狩りで賑わいます(きっとできないでしょうけど)。でもって、すぐに夏祭りで御神輿が出て(きっとできないでしょうけど)。花火大会なんかもあって(きっとできないでしょうけど)。あ、ウッカリしてました、オリンピックなどという世界的な大イベントも日本で開催されるはず(どんなカタチになるか想像できないけど)。と、今年の夏は異常気象だとか、毎年マンネリのニュースが流れ始めたら、もう秋の入り口で、きっと去年同様に、季節感を肌で感じる暇もなくクリスマスの街の表情が映しだされ、(どんな表情かわからないけど)、もう、お正月。あっという間です。

 

いちいち(きっとできないでしょうけど)、などとわざとふて腐れた体で書きましたけど、来年のここに、(できるようになって良かったね)といちいち書ければなぁ。

 

で、そんな閉塞感、てか、退屈感(?)の中に居た僕はエッセイのネタを自分で考えるのが嫌になる時がしばしばあって。そんな時は、目の前にいる人に、なんか目の前にあるモノをひとつ言葉にしてみてくれる?そのコトバでなんか書くから、といった投げやりなトライをするコトがあるんですね。で、先日、12月号(先々月ね)に登場してくれたかおりさんに投げかけてみたところ、とても美しいビジュアルの彼女はその美しい唇で即座に、ホーチョー、というお題を僕に向けてやや猟奇的に言い放ったのでした。

庖丁、かぁ。ホントに目の前にあったモノをぶっこんできたなぁ。

庖丁、でも、いいお題だな。僕、こう見えても割と料理するの好きなんですよ。ここからは料理シロートの独り言と思ってくださいね。

 

藤間 久子『Slowly』

釣ってきた魚を捌いたりするのも大好き。でもって、当然のコトですが庖丁、大切です。切れ味が鈍い庖丁を使っているととてもストレスを感じます。調理器具は多彩にあるけど、食材を切り刻む刃物、の切れ味がいいと、それだけで料理の入り口は、軽快で幸せで楽しい。これからの始まる作業の快適さをを約束してくれますね。だから、僕は、包丁を研ぐという工程が大好きです。素人なので細かいことは省きますが、水に馴染ませた砥石に、正しいと思う角度で庖丁の刃をのせて、指をあてがって、指先の感覚に集中して、砥石の上に庖丁を前後に滑らせる。刃が研がれていく時の音に、今度は耳が集中していく。そのさ中、あ、なんか正しくない、とか、あ、キモチいい、ちゃんと研げてる。とか、単純な作業の中で、砥石の上を往復する庖丁の姿と研ぎ音に他の事を忘れてしまう。ほんの数分間恍惚感がある。

 

ハナシはいつものように唐突に全く違うところに飛びますが。野球のキャッチボールもそうなんですって。ただ、球を投げてキャッチするだけの単純な行為ですが、今投げた球は捕る相手のキモチのイイところに投げれたナ、とか、相手の投げた球が自分のグローブの中に、パン!といい音でキャッチ出来たナ!とか、単純な動作の繰り返しの中で、ひと動作、ひと往復、その都度の音などに、味わいを感じて、それをしばらくの時間楽しめてしまう、って日本人ならではなんですって、昔何かの本で読みました。

 

庖丁。西洋のコックさんなんかは、鉄の棒を左手に掲げ、その鉄スティックに庖丁をしゅっしゅっとこすりつけ庖丁研ぎ終了とかやってんのテレビで観たことあるけど、あれ研げてるのか?また、ユルイ話しで申し訳ない、お正月なので酔ってます。

 

エッセイスト 北園 修

Photo:藤間 久子『Slowly』

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