2021.06

2021.06

京浜臨海部の高いポテンシャルを背景にアフターコロナにはさらなる発展を。

京浜急行電鉄(株)取締役社長
原田 一之 氏

原田 一之

Profile

1954年、神奈川県横須賀生まれ。76年、東北大学法学部卒業後、京浜急行電鉄入社。鉄道本部計画営業部長、人事部長などを経て、2007年取締役。10年常務。11年専務。13年から現職。趣味:図画工作、山歩き。座右の銘:縁尋機妙。

京急グループは2019年の9月に、本社を港区高輪からみなとみらい21地区へ移転しました。その経緯を教えてください。

旧本社があった高輪では、JR東日本さんの車両基地や当社用地等の区画整理事業によって、品川開発プロジェクトがスタートしました。国家戦略特別区域の特定事業でもあり、旧本社用地は区画整理の対象となりました。
私たちとしては品川で新たに移転先を見つけるか、あるいは川崎はどうかなどといろいろ検討しましたが、最有力候補として挙がってきたのが横浜でした。
京急線のほぼ中心に位置し、経済活動も活発で商業施設も多い。おりしも2018年に京急電鉄は創立1 2 0 周年、2019年には開業120周年を迎え、分散していたグループ企業を集約したいという思いもありました。そこに、横浜市によるみなとみらい21地区56・1街区の公募があり、応募させていただいたわけです。以前は沿線の北端に本社がありましたが、今回は横浜駅東口から徒歩7分というアクセスの良さで、グループ社員も集まりやすい。「この場所から新しいスタートを」という思いがカタチになり、「京急グループ本社」として稼働を開始して、およそ1年半になります。ひとつ付け加えますと、京急線路線網の原型ができた時期に活躍していた「デハ230形」車両をはじめ、運転台でのシミュレーション体験、沿線風景を再現したジオラマなどを展示している「京急ミュージアム」も本社に併設し、2020年1月にオープンしました。

みなとみらい21地区というエリアはいかがですか。

私たちが移転を決めた当時は、周囲はほとんど更地でしたが、竣工後に通うようになった頃にはすっかり様相が変わりましたね。通勤で横浜駅から歩いていくと、このコロナ禍においても多くの人がみなとみらい地区に向かっていきます。
日産自動車さんや富士ゼロックスさん(現「富士フイルムビジネスイノベーション株式会社」)など、このエリアの開発初期の段階で移転されてきた企業は、発展のスピードもさることながら、周囲の景色については隔世の感があるのではないでしょうか。私たちは最後尾グループとして移転してきましたが、これからもまだ企業、各種施設の移転や進出は増えていくでしょうし、コロナ禍が収束していけば、テレワークからオフィス通勤に戻ることで、今以上に活気が出てくるので、ますます楽しみです。

しかし、移転後の新しいスタートから間もなくコロナ禍に見舞われました。グループの事業にもさまざまな面で影響は大きかったのでは。
 

コロナ禍においては多くの業種、企業の皆さんが苦しんでおられますが、私たちのグループの核をなす鉄道、バス、ホテル
事業というのは最も影響を受けている業種の一つです。人が動いて、移動して、宿泊するという行動がビジネスもレジャーもストップしていますから、業績的には大変厳しい状況です。
一方で、約9000人のグループ社員の仕事の中心は現場です。本社はテレワークを推進できますが、現場はそうはいきません。緊急事態宣言下で人の動きが減ったとはいえ、電車やバスを動かし、スーパーを営業する必要があります。人々の移動の手段を守るのは私たちの使命ですから、現在も感染拡大防止の施策を徹底し、それぞれ工夫を凝らし、細心の配慮を行いながら事業を継続しています。

電車やバスは、通常より乗客が減ったなかでも運行を続けていましたね。

私はときおり現場を回りますが、去年の4月、金沢文庫駅に行ったときのことです。あそこは車両基地があるため横須賀方面からくる車両に4両増結されて12両編成になります。
普段の朝なら駅には大勢の人があふれるほどいらっしゃいますが、そのときはガラガラでした。運転士さんに声をかけて「厳しい状況で、現場にも負担をかけるね」といった話をしたところ、「この連結によって、お客さまは少しでも混雑を避けて通勤できます。連結を止めればお客さまは車内で密になりリスクが生じます。ですから我々は今まで通り連結をして安全に、安心し移動してもらえるよう務めるだけです」という言葉が返ってきました。
自分たちの使命を理解してきっちり仕事をしてくれていることが非常にありがたかったし、誇りに思いました。

アフターコロナについてはどのようなイメージを持っていますか。

ワクチン接種もはじまっている現在、まず今年一杯でどこまで日常が戻ってくるかが一つの目安であると思っていますが、100%ということはないでしょう。通勤・通学、観光もすぐに戻るとは考えにくい。通勤でいえば定期券を使用されている方は、コロナ収束後も1割程度は減るだろうと予測しています。
一方で京急沿線には高いポテンシャルがあると思っています。たとえばコロナ以前の2 0 1 9 年のインバウンドは3100万人を超え、羽田空港では国際線発着の増加など、日本の窓口としての存在感を高めているなか、私たちは空港への交通アクセスに加え不動産やホテル事業などを展開していきます。
また品川駅周辺の開発は、私たちのグループの将来にとっても大きな意味を持つものです。リニア中央新幹線の始発となり、国際水準のホテルや会議誘致を想定した複合施設の開発を予定しています。さらに横浜ではみなとみらい21地区をはじめ他の地域でも開発が予定されています。
このように京急沿線の臨海部は新しい産業が生まれ経済が成長していくうねりがあり、人が集う場所になっていきます。コロナ禍からの回復に時間はかかるでしょうが、長い目で見れば心配はしていませんし、大きな期待を持っています。

臨海部でいうと三浦半島についてはどのようにお考えですか。

もちろん重要です。京急の鉄道路線のうち三浦半島が三分の一くらいを占めていますし、多くの路線バスも運行しています。三浦半島は人口減が懸念されていますが、その活性化は私たちにとっても重要なテーマです。
東京から1時間で、海があり山があり、魚も野菜も美味しい。臨海部の発展と三浦の自然が連携することで、三浦半島にもっと人を呼び込むことができるし、移住を考える人も増えると思います。
すでにグループ企業では空き家活用などを推進し、既存のストックを活かす取り組みが始まっています。自然に恵まれた環境を求める人もいるだろうし、コロナ禍で注目され始めたワーケーションといった新しい仕事環境として魅力を感じる人もいるでしょう。
人が「動く」仕掛けや提案をどんどんしていきたいですね。またこれまで横須賀市民と三浦市民は横浜へ通勤する人が多かったのですが、東京都心部までの通勤となると、それは少し遠いです。先ほど申し上げた横浜と品川の開発が進むと、三浦半島から臨海部の通勤が以前のように復活すると思います。

本紙の読者である西区、中区の法人の皆さんにメッセージをお願いします。

横浜そして臨海部の中心でもある西区、中区の皆さまが元気であると、私たち京急グループも元気をもらうことができます。
横浜がどんどん新しい時代に向けて進もうとしていることを、我々も活かしていきたいです。一緒に頑張り、発展していきたいと思っています。

京急グループ本社にて
3月30日取材

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