2022.01
全国に「石田組」の演奏を届け、「また聴きに行きたい」と言ってもらいたい。
ヴァイオリニスト 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 首席ソロ・コンサートマスター 京都市交響楽団特別客演コンサートマスター 硬派弦楽アンサンブル石田組 組長
石田 泰尚 氏
Profile
神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席ソロ・コンサートマスター。これまでに神奈川文化賞未来賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。2014年硬派弦楽アンサンブル“石田組”を結成。NHKでも取り上げられその熱いステージの模様は大きな反響を呼んだ。2020年4月より京都市交響楽団特別客演コンサートマスターを兼任。
石田さんのヴァイオリンとの出会いはどういうものでしたか。
自分の記憶にはありませんが、小さな頃、テレビなどから流れてくる音楽に反応して手を叩いたりして、よくリズムをとっていたそうです。それを見た両親が「何か音楽を習ったらどうだろう」ということで、近所にあったヴァイオリン教室に入れた。
それが始まりです。たしか3歳のときだったと思います。両親ともに音楽とはまったく縁がありませんでしたが、僕はそのままヴァイオリンを続けて、国立音楽大学を卒業しました。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団への入団はどのような経緯があったのでしょうか。
22歳で新星日響に入団して、24歳でコンサートマスターになりました。しかし新星日響が2001年に東京フィルハーモニー交響楽団と合併することになり、そこからは退こうと決めました。そのタイミングで当時神奈川フィル常任指揮者(現名誉指揮者)だった現田茂夫さんから声をかけていただいたのです。
現在は神奈川フィルハーモニーの首席ソロ・コンサートマスターとしてのご活躍はもちろん、ソロや石田組などさまざまな演奏活動を展開されています。特に石田組はどのようなきっかけで結成されたのでしょうか。
石田組の正式結成は2014年になります。その前に、新星日響時代の同僚の方のレコーディングに参加したことがあり、そのときメンバーは僕に任せてもらったので、あえて全員男性にしました。
そのレコーディング風景を見ていたときに「格好いいな」と思ったんですね。それでこれからもこの編成で続けていけないかと考え。皆さんを誘ったところ快諾してもらったことが「石田組」の結成につながりました。
ユニークな名前ですね。クラシックファンの間では「石田組長」と呼ばれているそうですね。
私が「◯◯弦楽合奏団」といった名前を探していて、考えている最中に「組」という名前がピンと来て、それで名付けました。
ここ1 年半ほどはコロナ禍で大変だったと思いますが。
そうですね、2020年の4月からしばらく公演等がすべて中止、延期になりました。練習はするものの、集中できない部分もあり「早くお客さまの前で演奏したい」という気持ちが強かったですね。
夏前後くらいから少しずつ戻ってきて、コンサートやライブ配信なども活用して活動を継続してきました。
石田組のレパートリーは、バロック音楽から映画音楽、プログレッシブ・ロックまで幅広いのですが、選曲はどのように行っていますか。
もちろん僕が考えて決めていくこともありますが、マネージャーに相談して構成することもあります。メンバーは基本的にクラシック畑の人間で、違うジャンルの音楽をやるのはハードな挑戦ではあるのですが、一方で楽しさもありますし、やり終えた後の充実感をみんなが感じてくれていると思います。
石田組だけではなく、スケジュール的にも忙しいなか、普段の練習はいつ行っているのですか。
本番やリハーサルがある日もできるだけ早く入って練習します。また休日は5、6時間は練習しているでしょうか。
良い演奏をするためには練習するしかありませんし、練習以上のものを本番で出すことはできません。
しっかり集中して納得できる練習ができれば、音楽以外のことでリラックスします。
たとえばテレビを見たり、散歩をしたり。京都へ行くことも多いので、よく散策しています。
石田組として今後の抱負はありますか。
まだまだ全国の皆さまの前で演奏できていないので、まだ行ったことのない道府県に行き、僕たちの音楽を届けたいです。
一度聴きにきてくれた方が「また石田組の演奏を聴きに行きたい」と思っていただければ最高です。
音楽家としてのご自身の目標はありますか。
今回のコロナ禍でも思ったことですが、お客さまの前で弾けるというのは当たり前のことではないんですね。今は、演奏できる喜びを感じながら、できるだけ長く現役を続けたい、そう強く思っています。
はまぎんホール・ヴィアマーレにて
インタビュアー福井