2022.10
「賑やかで華やかな中区」を取り戻す、そのための取り組みを進めていきます
横浜市中区長
小林 英二 氏
Profile
1963年5月7日生まれ。明治大学法学部法律学科卒業。1989年横浜市入庁。議会局政策調査課長、総務局法制課長、港湾局みなと賑わい振興部長、総務局副局長などを経て2022年4月から現職。趣味は職員と話すこと。
今年4月に中区長に就任されました。以前は総務局の副局長を務めていらっしゃいましたね。
はい、私は今年で入職34年目になりますが、そのうち30年は本庁勤務でなかでも総務局は長く、20年間おりました。人事や組織管理、危機管理など縁の下の力持ち的な部署ですね。区役所勤務は緑区役所、保土ケ谷区役所での経験があります。
就任にあたっての所感をお願いします。
就任にあたり地域の自治会長の方々とお話をするときに「これまで中区役所での勤務経験もないようですが・・・」といったことが話題になることがありました。
しかし今申し上げたように私は長く旧市庁舎で勤務をしておりましたので、中区でずっと仕事をさせていただいてきたわけです。
中区の街の変遷、産業の発展、横浜の中心としての賑わいといったものも肌で感じてきましたので、非常に親近感をもっています。中区のイメージは私のなかで「The Yokohama」であり、横浜のなかの横浜です。
一方で15万人の生活者がいて、そのうち1割が外国人の方である、といったことは今回初めて知ったことで、高齢化率もかなり高いです。
また横浜市は都内へ通勤している方が多いこともあり、昼夜間の人口比率をみると昼間の人口が100%を切る区がほとんどなのですが、中区はその逆で昼間の方が人口が増えます。そこには防災をはじめいろいろ
な課題もあります。そこで、今まで通り横浜の中心としての活性化への取り組みとともに、区民の皆さまの生活にしっかり向き合っていきたいと考えています。
就任から多くの方とお会いし、お話をし、皆さまの中区への思いを受けとめ、そのご期待に応えていきたいと思います。
今年度の中区の運営方針を紹介ください。
基本目標としては「誰もが安心と活力を実感するまち中区」を掲げています。
そのための施策としては、区民の皆さまの健やかな暮らしを守り、在勤の方、街を訪れる方が非常時にも安全・安心であるような防災面での対応を進めます。また住みやすい街であるために、お子さんから高齢の方まで支え合い助け合える仕組みというか気持ちを浸透させたいです。
そのためには区民の皆さんが主体となった取り組みがさまざまなシーンで展開されることが必要だと思っています。
このほか国籍やルーツにとらわれない多文化共生の街づくり、区民の皆さんのご要望にスピーディに対応できる区役所づくりなども進めていきます。
ある程度長いスパンで考え、取り組んでいくものになりますね。
そうですね、たとえば防災や皆さんが支え合う街づくりにしても、一朝一夕に達成できるものではなく、これまでの取り組みを引き継ぎながら充実した体制を整えていきたいと思います。
安全・安心で健やかな街づくりの面でいうと、中区の住宅は74%が集合住宅です。高層マンションも少なくありません。災害時の停電、断水への対応、避難ルートの確保は常日頃から皆さんが理解しておかなくてはなりません。
それぞれの集合住宅の自治会によって認知度に差があると思いますが、防災や減災の広報に力を入れて意識醸成を図っていきたいと思います。同時に先ほども話に出ましたが、観光等で街を訪れる人も多いので、災害が発生した際、避難行動をどうするかを考えられるよう、来街者向けに「横浜市避難ナビ」のアプリ活用を広く広報し認知を広げていきたいです。
また世代を超えて助け合う街づくりなども継続しての取り組みになります。地域に住む人、働く人が福祉面での課題を考え、取り組む計画「中なかいいネ!」などがその一例です。保護を必要とする子ども自身がSOSを発信できる「みんなでSTOPザ虐待」の対策も強化していきます。
今年度もコロナ感染症対策を継続してのさまざまな施策への取り組みになりますね。
第7波が猛威をふるい、今後、新たな変異株が出てくる可能性もあるなかで感染予防対策は引き続きしっかり取り組んでいかなくてはなりません。ワクチン接種が済んでいない方もいらっしゃいますから、そういう状況での対策をどうするか、踏み込んだ対応が求められていると思います。
また区の職員の仕事は対面での業務が多く、リモートワークがしにくい側面があります。行政サービスを継続していくために、職員を守るための施策も必要で、ご不便をおかけすることがあるかも知れませんが、ご理解をいただければと思っています。
地域の活力といった面では、コロナ禍の影響が長く続いていますが、昼間の賑わいはある程度戻りつつあると感じています。しかしご存じのように第7波において自主制限もあって、夜の飲食店の営業は非常に厳しい状況が続いています。全体的な中区の賑わいを取り戻していくことが今日的なテーマだと考えています。
今年度のイベントなどの開催についてはどのように考えていますか。
コロナ禍において丸2年間は多くの恒例行事やイベントなどを開催することができませんでした。
それによって経済的、文化的なダメージを受けましたが、それだけではなく、地域の人と人のパイプ、あるいは他都市の人とのネットワークといったものも失われつつあるのではないかという危機感も抱いています。
中心となって動かしていく担い手が不足していることは何とかしなくてはと思います。
区内でも担当者の異動などによって、市と事業者の皆様の間や職員間のパイプが細くなりつつあるので、今後はそこの再構築もしっかり行っていきたいですね。
11月の「中区民祭りハローよこはま2022」は試金石になりそうです。
「ハローよこはま」は去年、一昨年はコロナ禍で中止となりましたが、令和元年も台風の影響で中止になっているので今年は4年ぶりの開催になります。
これまでの実績をふまえながら、新しい「ハローよこはま」を考え、区民の皆さんと一緒につくりあげていきたいです。
最後に今後に向けての抱負をお願いします。
私自身も中区のことをすべて理解しているかといえば、まだまだ足りないところばかりです。
区民の皆さんが安全・安心に暮らせることが第一で、またお勤めの方や観光などで訪れる方にとっても安全・安心であること。
「住んで良し、働いて良し、訪れて良し」の街であるために何ができるか、何をやるべきかを考え、そのための施策を粘り強く推し進めていきたいと思います。
コロナ禍が収束していないなか、「ハマフェスY163」「ザ よこはまパレード」などは実施できましたが、これまでのように中止や延期だけではなくこうしたイベントを「どうしたら開催できるか」に知恵を絞り、賑わいづくりを考えていきたいと思います。
皆さんの力を合わせ、賑やかで華やかな中区を取り戻していきたいと思っています。
横浜市中区役所にて
インタビュアー福井