2023.08

2023.08

自分を信じ世界一を目指す40歳からの挑戦 ~ミラノオリンピックへ8年ぶりに現役復帰~

プロスキーヤー
佐々木 明 氏

佐々木 明

Profile

1981年 北海道大野町(現北斗市)生まれ・。アルペンスキー ワールドカップ3度の2位表彰台(アジア人最高位最多)。世界選手権大会(2000/1シーズンから2012/13シーズン) 出場回数:7回。オリンピック アルペン種目 出場回数:4回。2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックを目指し、2022年3月アルペンスキー競技に8年ぶりに現役復帰を公表、世界の頂を目指す。昨年にはクラウドファンディングも成功させた

アルペンスキーの日本人トップ選手として活躍

19歳のとき、アルペンスキーの世界選手権でデビューしてから、ワールドカップ、オリンピックと世界最高峰のレースに167回出場しました。デビュー戦で6万5千人の観客を前に「この世界で絶対に勝ちたい」と思ったことは今でも鮮明に覚えています。キャリアにおいて優勝はできませんでしたが、ワールドカップではアジア最高位の表彰台も経験しました。オリンピックにも4大会連続で出場しました。日本のアルペンスキー史上、誰よりも結果を出して、誰よりも上にいった。勝つためにはすべてを捧げなければならない世界です。お金もそう、やりたいことも食べたいものも我慢をしてすべてを注ぐ。やりきったという感じではありませんが、もう十分だとは感じて2014年、32歳で山の世界へ転向しました。

引退後8年間、やりたいことをやる生活

山の世界というのはビッグマウンテンスキーです。世界中の山を滑り降り、ドギュメンタリー映画も作りました。あとはサーフィン、スノーボード、東日本大震災の復興支援など、僕の生活は新しいステージへ移りました。ストイックというより、自分にとって気持ちの良い、やりたいことをやる生活です。そういう暮らしを8年続けました。でも、あるとき考えました。自分は遊ぶためにアルペンスキーから離れたのか。いや、そうではない。僕のなかには「オリンピズム」というものがあるんです。それが、生き方を考え直すきっかけになりました。

心身を鍛え生き方の創造を探究するために

2回目のオリンピックに出場するときに「オリンピックって何だろう」と考えたことがあります。
平和、スポーツの祭典、選手として最高のパフォーマンスを出す、いずれも間違いではありません。ただオリンピック憲章の最初に「オリンピズムとは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、バランス良く融合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探究するものである」とあります。そしてより高みを目指して教育や社会に還元しなさいと書いてあります。単に世界一になる、といった話ではないということが強烈に印象に残りました。僕はアルペンスキーを離れてこのオリンピズムを実践しようと思っていたのですが、どこかで目指していた方向性がちょっとズレていたのです。

オリンピック観戦で自分に問いかける

大きな転機になったのが2021年の東京オリンピックと翌年の北京オリンピックです。東京オリンピックのときは仕事で札幌に長期滞在していたのでホテルのテレビでずっと観戦していました。北京オリンピックのときはコロナに感染しホテルで隔離生活を送ったので、観戦にうってつけでした。そこにはアスリートたちが人生を賭けて戦っている姿がありました。
感動する自分がいる一方で、「自分は今のままでいいのか」と問いかけていました。自分が情けなかったのですが、そのなか一つの声は「お前はまだあっちの世界へ行けるよ」と言いました。じゃあ、それですぐに決断したのかというと、そうではありません。今回の講演のテーマは「世界一を目指す40歳からの挑戦」ですが、そんなに簡単に決められものではなかったです。

復帰を決断、そして高い目標を設定

それはそうですよね。すごく怖いし、失敗したらどうしようと思うし。もう40歳だし。世界を指すなんて言ったら、今現役で頑張っている選手たちを馬鹿にすることにならないか、とか考えたりもしたし。
また今後のキャリアとしてスキースクールを作り、指導者としてやっていけるかも知れないけれどこの挑戦で失敗したら笑い者になってできなくなるな、といったようにマイナスのことばかり考えてしまうんです。だから決断するまでに北京オリンピックからしばらくかかりましたね。ただ言うなれば「好きなことして遊んでいるだけの自分」と決別するために腹をくくりました。それでただ復帰するだけではなく「オリンピックで勝つ」という高い目標を設定しようと思いました。そうすることで怖さや失敗を怖れる自分を奮い立たせて、自分を信じ、目標から逆算して何をしていくべきか考えました。

自分を追い込んで毎日の練習を積み重ねる

40歳なら、10代、20代と戦うための体に仕上げられる。ラストチャンスだと思ってトレーニングを続けてきました。1年かけてパワーもスピードもだいぶ戻ってきています。
アスリートの世界でトップを目指すには、常に自分を崖っぷちに追い込んでおく必要があります。だから朝、ベッドに入っていたいけれど起きてトレーニングをする。走りにいく。バイクを毎回30分漕ぐと決めていたら31分漕ぐ。決して手を抜かない。その積み重ねが最終的に大きくモノをいうと思います。結果を出すためのプライオリティによって行動する、ひとつの目的を果たすために犠牲を払うことも厭わない、そういうことはもしかすると経営にもつながっているかもしれません。

オリンピズムから生まれたもう一つの挑戦

ちょっとアルペンスキーとは違う話になりますが、実は僕はもう一つ挑戦しようと思っていることがあります。ビッグマウンテンスキーの最終目的としてアルプス山脈のオーバーガーベルホルンという山を滑り降りることです。北斜面の氷壁で、角度は65度から70度、標高は4000メートルを超えます。温暖化で10年後にはもう滑れなくなると言われています。アルペンスキーの挑戦を終えたら、次はこちらです。根底にはオリンピズムの人生を豊かにして、創造して高みに持っていく、という考え方があります。人間って、ちょっと油断するとラクなほう、楽しいほうにいってオートマチックな生活に甘んじてしまうところがありますが、僕にとってオリンピズムが人生の指針になっているのでそこはもうブレることはありません。
 

全力で世界一を獲りにいく

話を戻して、今、アルペンスキーの世界ランキングは150位くらいです。若い選手が500位くらいからスタートして4年ほどかかるところを3カ月でそこまで戻しました。日本ランキングは4位です。今回の挑戦は私が勝つだけではなくて日本の悲願であるオリンピックでメダルを獲ることが目的です。オリンピックに出たいわけではないんです。オリンピックで勝ちたいんです。「次のオリンピックで金メダルを目指します」と言ったとき、鼻で笑われました。4回挑戦して取れなかった奴が何を言っているんだ、8年前に辞めた奴が何を言っているんだと思っている人もいるでしょう。でも、関係ないです。僕の人生ですから挑戦します。誰が何と言おうと自分がいけると信じているので、全力で世界一を獲りに行きたいと思います。

県民ホール・6月21日


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