2025.04
『Bリーグプレミア』入りを目指し クラブとしてスピード感をもって飛躍していきたい。
(株)横浜エクセレンス 代表取締役社長
桜井 直哉 氏

Profile
1989年1月6日生まれ。亜細亜大学 経済学部卒業。2007年~2011年:横河武蔵野フットボールクラブ【※現:東京武蔵野ユナイテッドFC】(選手)。2012年~2015年:奈良クラブ(選手)。2016年~2018年:NPO法人奈良クラブ(育成・普及スタッフ / アカデミーダイレクター)。2019年~2022年:株式会社加藤製作所。2022年~2023年:横浜エクセレンス(ホームタウン事業部 部長 / NPO法人横浜エクセレンススポーツクラブ理事長)
まず横浜エクセレンスのクラブ紹介からお願いします。
私たちの前身は東京エクセレンスというクラブで、東京都の板橋区をホームタウンにしていました。2016年にBリーグが開幕し、当時はB2リーグに所属していました。リーグの規約としてアリーナの収容人数というものがありB2は3000人収容のアリーナが求められていますが、地元の体育館ではそれを満たすことができていませんでした。観客席の増設計画もあったのですが、それが白紙になったことでB3に降格してしまったんです。そんな折に、横浜関内エリアの再開発の一環でスポーツ活性を目的に横浜BUNTAI、横浜武道館が新しく生まれるという話しを聞いて、横浜市さんにお願いして、ホームタウンを移転させてもらい「横浜エクセレンス」として新たなスタートをきりました。それが2021年7月のことです。
桜井社長は元々チーム運営に関わっていたのですか。
ええ、前身の東京エクセレンスから約6年携わっています。実は、私はずっとサッカーをやってきまして、大学在学中にJFLの選手になり、26歳まで現役でプレーしました。引退にあたり、将来は会社経営に携わりたいという思いもあり、紹介いただいたのが東京エクセレンスだったのです。チームのオーナーが代わり、前社長が辞任されるタイミングで新オーナーから社長就任の打診があり受けさせていただきました。
社長として2年目を迎えているわけですが今年のチームとしての目標を教えてください。
Bリーグのシーズンは9月末から始まって約6か月間リーグ戦があり、昇格プレーオフも5月中には終了します。2年目の今シーズン、チームはB3で首位を走っていますからこのままいくとB2へ昇格を達成することが一番の目標ですね。就任して思ったのは組織としてもっと強化したいという点です。これまでも皆、一生懸命仕事をしていましたが、そこからひとつステージを上げたい。横浜エクセレンスがどう飛躍していくか、クラブとして目指す方向などを提示、共有することで今まで積み上げてきた地点から一人ひとりのパフォーマンスがさらに上がると思いました。裏方が一丸となってクラブを支えるにはそういう部分を高めたいと思いましたね。
サッカー業界にいたキャリアは役立っていますか。
ご存じのように2016年にBリーグを立ち上げたのは、Jリーグの初代チェアマンの川淵三郎さんです。
私も引退後は数年、サッカークラブの運営に携わりましたが、Bリーグの運営、クラブ運営においてJリーグのノウハウがかなり活かされていると実感しています。その点で競技は異なりますが、私自身はとてもやりやすいですね。スタッフもバスケットボール経験者はもちろん多くいますが、サッカー業界から転身してくるケースも少なくないんですよ。

経営という観点から改善点はありますか。
今は人材も含めて組織として地盤固めをしている段階ですが、クラブとしての収支でいうと、スポンサー、入場料、ファンクラブ、グッズ、アカデミー等の収入に大きく分けられますが、現在はまだスポンサーに頼っている部分が大きいので、ファン層の拡大、試合に足を運んでいただく方の開拓といったことに力を入れていきたいですね。今はB3ですが、観に来ていただければ楽しんでいただける自信はあります。
B3リーグに所属する現時点から一緒に応援していただくところにも大きな価値があると思っています。
法人会員にスポンサーのPRをどうぞ。
ありがとうございます。私たちは単に「スポンサーになってください」とお願いするのではなく、支援していただける企業さんにはしっかりお返しができるようになりたいと思っています。
企業イメージアップが採用面での効果につながったり、社員さんの福利厚生として活用していただいたり、地域をつなげるブリッジになったり、クラブを支えていただきながら私たちもお力になれるところで貢献する。協業してwin-winの関係になれることがスポンサードしていただく意義だと思っていますので、一緒に成長させていただけると大変助かります。
クラブの活動として地域との交流にも力を入れているようですね。
私たちが大事にしていることが大きく2つあります。
一つは、多くの方に試合会場に来ていただき楽しんでいただくこと。そこでプロならではの試合をして、バスケットボールというスポーツを通して皆さんに喜びや勇気を与えたいと思います。地元のクラブとして応援してくれる皆さんの誇りになれるような存在になることです。
そしてもう一つが地域との連携で、その中心になっているのが子どもたちとの交流です。横浜市さんは以前より市民の「する」「見る」「ささえる」スポーツへの関わりを推進されていますが、その輪のなかに入らせていただき、スクールや学校訪問などを展開しています。また2022年には中区役所さん、中区連合町内会さんとホームタウン活動の協力に関する基本協定を締結させていただき、中区をさらに魅力的な街にしていきましょう、という目標に向けて共に活動しています。
チームは来シーズン、昇格の可能性も大きいということで、その後の目標はやはりトップリーグですか。
そうですね、いち早くトップリーグにはいなければ、と思っています。実は2026年からBリーグは新しい体制になっていきます。一言でいうと売上と平均入場者数をクリアすることでトップリーグに昇格できるようになります。「Bリーグプレミア」というのですが、そこに入ってくことが目標です。10年後には日本一という姿を思い描いています。そのためにファン層を拡大しつつ収益を上げ、クラブとして大きく成長していく。かなりのスピード感が必要だと思っていますがやり遂げたいです。
チームとしての目標とは別に、プロスポーツクラブの経営者としてのビジョンや夢はありますか。
10年先、20年先も横浜エクセレンスの社長として、このクラブの価値を高めていくことにチャレンジしていたいですが、私もスポーツに育ててもらってきましたから、スポーツ業界に還元していきたいと考えています。プロスポーツビジネスが一大産業になっていくために尽力したい。興行の規模、社会的な影響力といったものをもっと大きくさせてプロスポーツクラブのステイタスを上げていくために、何をすべきか考えて取り組んでいきたいですね。
税経研修センターにて(2025年1月31日取材)
インタビュアー 福井・畠山