2025.12
創造的で革新的な施設として 横浜ハンマーヘッドを発展させていきたい。
新港ふ頭客船ターミナル(株) 代表取締役社長
岡田 伸浩 氏
Profile
1953年3月5日生 72歳 横浜市出身。1975年 慶応義塾大学商学部 卒業。同年 株式会社伊勢丹 入社。1977年 株式会社横浜岡田屋 入社。1993年 同社の代表取締役社長 就任(現職)。2017年 新港ふ頭客船ターミナル株式会社 代表取締役社長 就任(現職)。その他主な役職として横浜商工会議所 副会頭、公益財団法人神奈川県スポーツ協会 会長、公益財団法人横浜市観光協会 理事長を務める。
横浜ハンマーヘッドの、そもそもの事業の始まりから紹介お願いします。
2017年、横浜市が新港ふ頭に大型船を着岸できるようにすることを機に、エリアの活性化を目的に「新港地区客船ターミナル(仮称)等整備事業」を公募しました。地元企業の皆さんから相談を受けて、他にはない横浜らしい場所だから、横浜にふさわしい、将来につながっていく施設をつくろうということになりました。
藤木企業(株)、川本工業(株)、(株)小比木、(株)横浜岡田屋の4社で(株)YNP(ヨコハマニューポート)を設立し準備を進め、当初、私たちは地元企業として応援する立場をとって、いくつかの商業施設や水族館、劇場などに話を持っていったのですが、良い返事はもらえませんでした。傍から見れば魚と船しかいないロケーションなので、仕方ない面もありました。そこで色々考えたところ、以前外国で見た、とある施設からヒントを得て「ホテルと商業施設のミックス」ならいけるのではと思ったんです。場所はふ頭でも街が近い、それが大きな特徴です。国内はもとより世界中の商業施設を見て回ってきた経験から、勝算があると判断しました。これをヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルさんにご相談したら「ぜひ一緒に組んでやりましょう」という共感をいただき、そこでYNPに地元企業3社を加えてコンソーシアムを結成し、コンペに参加したのです。
それがまさに現在の横浜ハンマーヘッドの姿ですね。
街と陸、海、空をつなぐ賑わいのハブになるよう「ヨコハマ ウミエキ」を開発コンセプトに、客船ターミナルには大型客船の受け入れに対応したCIQ施設を整え、食をテーマにした商業施設とクルーズ前後の宿泊にも対応するホテルからなる複合施設です。私たちは観光地としての賑わいのみを求めているわけではなく、このエリアのグレードを上げたいと思って事業に取り組んできました。横浜や近隣に住む方々、ゆとりのある方々がちょっと出かけたくなるお洒落なスポットをつくりたかったのです。
商業施設はとても個性があり、魅力的な店舗が揃っています。
上階3層がホテルで下の2層が商業施設ですが、テナント誘致にはとてもこだわりました。世界的に知られるレストラン、横浜のソウルフードであるハングリータイガーさん、地元銘菓のありあけさんをはじめ厳選された約20店舗が入っています。フェスティバル型マーケットと言われるような小型店舗を多く入れるのではなく、店舗が非常に広いのが一つの特徴で、贅沢な空間でゆっくり過ごしていただけるようにしました。ちょっとしたご褒美感覚を大事にして、リピーターを獲得しようと考えたのです。
また商業施設のもう一つのコンセプトは「ファクトリー」で、ここでしか味わえないものもご提供したいと思いました。クラフトビールの醸造やジンの蒸留をしていたり、コーヒーショップでは焙煎からこだわり、スイーツも店舗内の工房で作られ、その様子を見て楽しむこともできるなど「そこで作っている」お店が勢ぞろいしています。さらには店づくりに加えて、サービスのクォリティが高い。グローバルスタンダードであることが強みであり、従業員が接客英語も身についていてフレンドリーに対応しているのも、外国のお客様がリピートしてくれるうえで魅力の一つになっていると思います。
2019年10月のオープンから6年を経て、業績はいかがですか。
おかげさまで非常に好調です。
開業間もなくコロナ禍に見舞われたときは、運も尽きたかと思いましたが、横浜市からの依頼でコロナワクチンの接種会場となったことで、施設を市民に知ってもらうきっかけの一つになりました。
逆境をチャンスに変えていくという点では、もともとここで商売すると決めたときに、相当気合も入っていましたし、出店してくださった皆様もここでやっていくためには仕掛けて、攻めていかないとダメだと思っていたので、乗り越えられたと思います。
徐々に支持が広がってきたことに加え、たとえば昨年の横浜DeNAベイスターズの優勝パレードで横浜ハンマーヘッドがスタート地点になったように市民の気持ちに寄り添うようなイベントを実施してきたことも認知度を高めてきた要因だと思っています。
昨今は観光の方もいらっしゃいますが、お客様は地元の方々が中心で、先ほどお話しした外国のお客様もインバウンドではない方々が多くいらっしゃっています。インバウンドは増えればいいというわけではなく、特にここでは来る人、住んでいる人、働いている人のバランスが大切だと思っています。
私たちが注目しているのは2、3年で客単価が上がっていることです。手前味噌になりますが、地元に認められ商業施設としての価値が上がってきているのではないかと手ごたえを感じています。当初の狙い通り、地元の皆様にとって格別の憩いの場として、横浜には横浜ハンマーヘッドがある、と誇りをもっていただけるようなスポットとして、これからも色々なことにチャレンジしながらグレードを上げていきたいと思っています。
横浜中法人会のメンバーに向けてメッセージをお願いします。
自戒も込めての話ですが、その昔、横浜が素敵だったのは開港のイメージがあったからだと思います。今までになかったものがたくさん生まれてきた歴史があり、創造的で革新的だった。だから外から見たときに横浜に対する好感や憧れの気持ちをもっていただけたのでしょう。そして私たちはその財産の恩恵を受けながら事業をさせていただいてきました。
今、横浜で仕事をしていて気になるのは意外に保守的な人が多いこと、そして視線を足元ばかりに向けている人が多いと感じることです。私も含めてもっと外を見て、チャレンジしていく必要があると常々思っています。
ハンマーヘッドがあるふ頭というのはもともと国の土地であり、商売ができる場所ではありませんでしたが、横浜市が本牧の市有地と交換をして市のものとして開発を進め商業施設をオープンできるようにしたわけです。そのように行政が規制緩和をし、チャレンジの機会がもっと増えていくように期待します。
世界を見てもポストコロナで生活文化産業は大きく変わっています。私たちの業界で言うならニューヨークなどでは店舗の在り方に関する規制緩和が進んで、新しいスタイルがどんどん生まれています。
少し偉そうな物言いになりますが事業者はもっと勉強して、チャレンジスピリットをもって新しいことに取り組んでいくことが、これから横浜の企業として生きていく道だと思います。
横浜ハンマーヘッドにて(10月9日取材)
インタビュアー 福井













