2026.02
神奈川の個性に満ちた市町村の魅力を 広く発信していきたいと思います。
NHK横浜放送局長
高柳 由美子 氏
Profile
平成2年3月 慶應義塾大学理工学部電気工学科 卒業。平成2年4月 日本放送協会入局 送出技術局・報道技術センター。平成8年7月 仙台放送局・放送センター(放送技術)。平成13年7月 放送技術局・制作技術センター。平成18年7月 NTS(現NHKテクノロジーズ)出向。平成21年6月 放送技術局・制作技術センター。平成28年6月 横浜放送局・技術部 部長。令和1年6月 放送技術局・制作技術センター 副部長、部長。令和4年7月 放送技術局(現メディア技術局) 局長。令和7年5月 横浜放送局 局長
高柳さんはどういう経緯でNHKに入局されたのですか。
高校では理系クラスで学び、大学は電気工学科に進みました。就職は学校の推薦先企業の中にNHKがあり、テレビが好きだったので試験を受けた、という単純な理由です。どんな業務があるかも知らずに入局しましたが、最初の配属はニュースセンターで、気象庁から届く天気予報のデータをもとに画面を作成する仕事を担当していました。その画面作成のシステムがバージョンアップした時期で、全国の放送局を回って操作法を指導する、といった仕事もしていましたね。
技術畑を長く歩んでこられたとうかがっています。
はい、ニュースセンターの後、番組制作に携わりたくて異動希望を出したところ、仙台放送局に配属になりました。地域放送局は少ない人数で幅広い業務を行うので、スポーツ中継や音楽番組制作などにも携わり、5年間楽しく充実した日々を送りました。次の配属が東京のテクニカルディレクター(TD)グループで、技術スタッフのまとめ役のような仕事に長く従事しました。私は現場志向が強く、ずっと現場でやっていくんだという気持ちでいましたが、上司の勧めもありマネジメント職を担うようになり、その後横浜放送局の技術部長や東京の放送技術局(現メディア技術局)局長などを経て、2025年5月から現職になります。父親が転勤族で全国あちこち引っ越しをしましたが、小学生時代を過ごしたこともあり、横浜はとても馴染みのある土地です。また現在も横浜在住でさらに愛着も深まっていますので、今回の異動は個人的にとても嬉しいものとなりました。
地域の放送局長としては横浜が初めてになるわけですね。就任されて何か課題のようなものは感じられましたか。
まずNHK全体の課題として、テレビを持っていない人やテレビを見ない人が増えたことで、私たちがお伝えしたいことが伝わりにくくなっている現状があります。そこで昨年10月から新しいインターネットサービス「NHK ONE」を開始し、番組の同時配信や見逃し・聴き逃し配信、ニュースの記事や動画などの情報をスマホやパソコン、ネット対応テレビなどそれぞれの環境に合わせてお届けしていこうと頑張っているところです。
横浜放送局の課題としては、テレビのローカル放送がない点をどうカバーしていくか考えています。ローカル放送とは、県域に向けた放送のことで、たとえば仙台放送局であれば、東北全体への放送プラス宮城県の人たちだけに向けた放送サービスがあります。首都圏は東京からの電波を視聴するので、このローカル放送がなく、横浜に来てから「地域の情報を発信しきれているのか」ということを自問し続けていますね。
たとえば県内の歴史あるユニークなお祭りを紹介する、といったことがなかなか難しいということですね。
そうですね、神奈川のニュースは首都圏のさまざまなニュースソースのひとつとして扱われるので、取り上げられる機会がどうしても少なくなります。しかし、取り上げられたときは、その影響は首都圏全域に及ぶので、インパクトはあります。私は、就任後のご挨拶も兼ねて県内の市町村を回っていますが、首長さんや広報の方から、地域のイベントや取り組みを「ぜひ首都圏の放送で取り上げて伝えてほしい」という話をいただきます。紹介されれば、イベントなどでは集客面で貢献できるので、ローカル放送に比べて良い面もあるんですけどね。
横浜放送局は現在どのくらい職員がいらっしゃるんですか。
66名の職員がいます。毎日番組を制作しているわけではないので、ディレクター職や技術職は少ないですが、営業職、記者はほかの放送局より多いと思います。神奈川県は人口900万人以上で約440万の世帯数があります。残念ながら都市部はNHKの受信契約率があまり高くないので、営業は、そこを上げていく活動や、ご家庭だけではなく企業さまにおいてもテレビを所有されていたりするので、適正にお支払いいただくような取り組みも行っています。
先ほど、テレビを見ない人が増えているなかで新しい取り組みのお話がありましたが、その打開策はあるのでしょうか。
情報を発信する側には表現の自由が、受け取る側には知る権利があるので、私たちNHKが一方的に誘導するわけにはいきませんが、災害などの緊急時には、まずはNHKをチェックしよう、と思っていただけるよう、信頼できる情報を届ける努力を続けています。インターネットサービス「NHK ONE」はまだ始まったばかりですが、どんどん使っていただいて、NHKはネットも信頼できるね、と言っていただけるように頑張っています。おかげさまで60歳以上の年代の方々からの信頼度は高く、番組への支持や共感をいただいていると感じているので、それを若い世代にも広げていきたいです。
そのために今後取り組んでいきたいことなどありますか。
正確なニュースや心を豊かにするコンテンツをお届けすることはもちろんですが、もっとNHKを知ってもらうことが大切だと思っています。横浜放送局はとても素晴らしい立地にありますが、この立地が十分に活かされているかというと物足りなさを感じます。同じ建物にあるKAAT 神奈川芸術劇場さんとも相談しているのですが、もう少し人を呼び込める仕組みを考えていきたいです。また立派な施設を有していますから、この有効活用も図って、もっとNHK横浜放送局を身近なものとして感じてもらう、そのためにアイデアを絞っていきたいですね。
NHKのなかの横浜放送局としてのミッションはあるのでしょうか。
都市圏ならではの経済ニュースが多いので、それをしっかりフォローしていくことが一つ。もう一つは、先ほどのローカルニュースの話と少し重複しますが、県内を回っていて感じるのは、市町村それぞれにとても個性があるということです。人口が少ないと「田舎町」の一言で片づけられてしまいそうですが、神奈川の場合はそうではないんです。先日も県内唯一の村、清川村を訪れ村長さんにお話を伺いました。丹沢の自然に囲まれたとても素敵な場所で、お水もおいしいそうです。経済の話も大切ですが、こうした神奈川の魅力を発信していきたいと思っています。
横浜中法人会の約2300社の会員に向けてメッセージをお願いします。
NHK横浜放送局は、神奈川の暮らしや文化、経済の動きを正確に、わかりやすくお伝えするだけでなく、その背景や課題、人々の思いまでしっかり届けることを大切にしています。地域に寄り添い、横浜をより良くしていくため、これからも努力を重ねてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
NHK横浜放送局にて(12月2日取材)
インタビュアー福井













